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国際ガイドライン

監修:広島大学皮膚科学 教授 秀 道広先生

■ The international WAO/EAACI guideline for the management of hereditary angioedema – the 2017 revision and update (遺伝性血管性浮腫診療のためのWAO/EAACI国際ガイドライン – 2017年改訂・更新版)
英語版

※注意:ガイドラインには本邦未承認の内容が含まれています。

HAE診療に関する国際ガイドラインは、World Allergy Organization(WAO)*1とThe European Academy of Allergy and Clinical Immunology(EAACI)*2により、2017年改訂版が公開されています。
本改訂版では、臨床医が合理的な意思決定を行うための臨床的疑問に対して、20の推奨文が提示されています。 以下に、今回変更された主な推奨文をご紹介します。

*1
世界アレルギー機構
*2
欧州アレルギー・臨床免疫学会
原著: Maurer M, et al: Allergy. 2018: 1-22.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/all.13384
Maurer M, et al: World Allergy Organ J. 2018; 11(5): 1-20.
https://waojournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40413-017-0180-1

■主な変更点

要時(オンデマンド)治療

推奨文2 (Recommendation 2)

すべての発作は、要時(オンデマンド)治療を考慮されるべきである。
上気道の症状がある、あるいは症状が及ぶ可能性がある発作は、すべて治療することを推奨する。
エビデンスグレード:D、推奨度:強い、100%合意。

We recommend that all attacks are considered for on-demand treatment. We recommend that any attack affecting or potentially affecting the upper airway is treated. Evidence grade: D; Strength of recommendation: Strong, 100% agreement.


”すべての機能的障害を起こす発作と,顔面,頸部,または腹部の発作”という表現から”すべての発作”に変更されています。エビデンスグレード、推奨度に変更はありません。

推奨文3 (Recommendation 3)

発作時はできる限り早く治療することを推奨する。
エビデンスグレード:B、推奨度:強い、100%合意。

We recommend that attacks are treated as early as possible.
Evidence grade: B; Strength of recommendation: Strong, 100% agreement.


エビデンスグレードがDからBに引き上げられています。推奨文、推奨度に変更はありません。

推奨文4 (Recommendation 4)

HAE発作はC1-INH、エカランタイドまたはイカチバントで治療することを推奨する。(18/20)。
エビデンスグレード:A、推奨度:強い、90%の合意。

We recommend that HAE attacks are treated with either C1-INH,ecallantide, or icatibant. (18/20).
Evidence grade: A; Strength of recommendation: Strong, 90% agreement.


2012年版に引き続き、HAE発作治療にはこの3剤が推奨されています(エカランタイドは国内では承認されていません)。推奨文の内容に変更はありません。
また、2012年版 推奨文 7として、経口線溶薬(トラネキサム酸)を要時(オンデマンド)治療として使用しないことを推奨していましたが、2017年改訂版では推奨文としての記載がなくなり、本文中で、経口線溶薬は要時(オンデマンド)治療、長期予防投与ともに推奨しないことが記載されています。

推奨文6 (Recommendation 6)

すべての患者は発作2回分の要時(オンデマンド)治療薬を用意し、常に携帯することを推奨する。
エビデンスグレード:D、推奨度:強い、100%合意。

We recommend that all patients have sufficient medication for on-demand treatment of two attacks and carry on-demand medication at all times.
Evidence grade: D, strength of recommendation: Strong. 100% agreement.


2012年版で推奨文8と推奨文9に分割して記載されていた内容が、2017年改訂版では推奨文6にまとめられました。
エビデンスグレード、推奨度に変更はありません。

推奨文18 (Recommendation 18)

認可された自己投与(注射)要時(オンデマンド)治療薬を提供された全ての患者に対して、自己投与の方法を指導すべきである。
エビデンスグレード:C、推奨度:強い、100%合意。

We recommend that all patients who are provided with on-demand treatment licensed for self-administration should be taught to self-administer.
Evidence grade: C, strength of recommendation: Strong, 100% agreement.


エビデンスグレードはDからCに変更されました。推奨文、推奨度に変更はありません。

家族スクリーニング検査

推奨文20 (Recommendation 20)

HAE患者の家族は、以下の理由によりスクリーニング検査を受けることを推奨する。
- 常染色体顕性(優性)遺伝である。
- 診断の遅れは適切な治療を欠き、病的状態をもたらすとともに患者の生活の質を低下させる。
- 気道浮腫が初発症状として現れた場合は、適切な治療を受けることなく致死的となる危険性がある。
エビデンスグレード:D、推奨度:強い、100%合意。

"We recommend that family members of individuals with HAE should be screened for the condition based on.
-autosomal dominant inheritance.
-delayed diagnosis leads to morbidity and decreased quality of life without appropriate therapy.
-risk of the first angioedema event being fatal due to airway involvement without appropriate therapy.
Evidence grade: D, strength of recommendation: strong, 100% agreement."


2012年版では、家族のスクリーニングを受ける理由として、上気道の発作による致死リスクについて触れられているのみでしたが、2017年改訂版では、常染色体顕性(優性)遺伝、診断の遅れによる状態の悪化やQOL低下についての記載が追記されました。エビデンスグレード、推奨度に変更はありません。

予防投与

推奨文7 (Recommendation 7)

発作を誘発しうる処置の前には、短期予防治療を行うことを推奨する。
エビデンスグレード:C、推奨度:強い、100%合意。

We recommend short-term prophylaxis before procedures that can induce an attack.
Evidence grade: C, strength of recommendation: Strong. 100% agreement.


2012年版では、“発作を誘発しうる手術等”の具体的な記載(歯科/口腔内手術の前,気管内挿管,上気道または喉頭への手技など)がありましたが、簡略な表現に変わり、エビデンスグレードはDからCに変更されました。推奨度に変更はありません。

推奨文8 (Recommendation 8)

発作の発現により生活が制限される患者に対して、予防薬の投与を検討する。
エビデンスグレード:D、推奨度:強い、90%以上の合意。

We recommend prophylaxis be considered for patients who face events in life that are associated with increased disease activity.
Grade of evidence: D, strength of recommendation: Strong, ≥ 90 agreement.


長期予防の推奨文として、新たに追加されました。

推奨文9 (Recommendation 9)

毎回の診察ごとに、長期予防薬の評価を行う。その際、疾患による負担と患者の要望を考慮する。
エビデンスグレード:D、推奨度:強い、100%の合意。

We recommend that patients are evaluated for long-term prophylaxis at every visit. Disease burden and patient preference should be taken into consideration.
Grade of evidence: D, strength of recommendation: Strong, 100% agreement.


長期予防の推奨文として、新たに追加されました。

推奨文10 (Recommendation 10)

長期予防の第一選択薬にはC1-INHを用いる。
エビデンスグレード:A、推奨度:強い、50~75%(過半数)の合意。

We recommend use of C1-Inhibitor for first line long term prophylaxis.
Grade of evidence: A, strength of recommendation: Strong, 50–75% agreement (majority vote).


長期予防の推奨文として、新たに追加されました。

推奨文11 (Recommendation 11)

長期予防の第二選択薬にはアンドロゲンを用いる。
エビデンスグレード:C、推奨度:弱い、50~75%(過半数)の合意。

We suggest to use androgens as second-line long-term prophylaxis.
Grade of evidence: C, strength of recommendation: Weak, 50–75% agreement (majority vote).


長期予防の推奨文として、新たに追加されました。

推奨文12 (Recommendation 12)

疾患による負担を最小限に抑えるため、必要に応じて長期予防薬の用量および/または投与間隔を調節する。
エビデンスグレード:D、推奨度:弱い、100%の合意。

We suggest adaptation of long-term prophylaxis in terms of dosage and/or treatment interval as needed to minimize burden of disease.
Grade of evidence: D, strength of recommendation: Weak, 100% agreement.


長期予防の推奨文として、新たに追加されました。

日本におけるガイドライン

わが国では、日本補体学会から「遺伝性血管性浮腫(HAE)ガイドライン」が出されています。
そのほか、日本皮膚科学会より発表されている「蕁麻疹診療ガイドライン」では、HAEを含む血管性浮腫について触れられています。

■ 日本補体学会 遺伝性血管性浮腫 (HAE) ガイドライン 改訂2014 年版(2014年発行)

■ 日本皮膚科学会 蕁麻疹診療ガイドライン(2011年発行)
 p.1365【CQ24】遺伝性血管性浮腫の急性発作にC1-INH の点滴静注は有効か
 p.1387【8-4】遺伝性血管性浮腫の急性発作に対するC1-INH による治療
⇒詳細は日本皮膚科学会